シンガポールのナショナルミュージアムで生まれて初めて感じたこと
週末にシンガポールのナショナルミュージアム(国立博物館)に行ってきました。
ナショナルミュージアムは、前から行きたいと思っていた、シンガポールの歴史がわかる国立博物館。
シンガポール国民と永住者は無料、外国人は一人15ドル(1,200円)で観覧できます。
たまに無料開放の日もあると聞きますが、お金を払ってでも行ってきて良かったと思える博物館でした。
もし在住でまだ行っていない方、コロナが落ち着いたらシンガポールに旅行したいと思っている方には是非おすすめしたい場所です。
シンガポールという国は歴史が浅く、2020年の今年で建国55周年。
そんなシンガポールが今に至るまでの歴史が、プロジェクションマッピングの神秘的な映像から始まり、イギリス植民地時代、日本統治時代、シンガポールの独立など、見所満載で展示されていましたよ。
実はシンガポールに越してきたとき、私が1番に調べたのが、戦時中に日本がシンガポールに酷いことをしていないかどうかでした。
まぁ、残念ながらしていたんですけど、、、
それを知って、残念だったし、胸が痛いことと悲しく感じていました。
子供の頃、初めて戦争について学んだときから、感じていたのは悲しみとか、なんでそんなことをしなければならなかったのだろうというショックで、
でもそれが戦争というもので、だからこそ二度と戦争はしてはいけないんだ、というように捉えていました。
でもナショナルギャラリーで、日本に侵略された当時の迫害の状況を、
実際に被害に遭われたおじいさんやおばあさんが肉声で語り、
日本が戦争に負けて引き揚げたことで平和が訪れた(再びイギリスの植民地に戻っただけで建国できたわけではないのに)という映像を見た時に感じたのは悲しさではなくて、、、
生まれて初めて自分が日本人であることを恥ずかしいと感じました。
私は、そりゃあ悪いところもあるけれど日本が大好き。
日本人であることに誇りも持っています。
そんな私が、初めて恥ずかしいと思ったのですよね。。。
念のために書いておくと、
ナショナルミュージアムは、大袈裟に描かれていたり、被害者感満載というものでは決してなく、実際にあったことをただ歴史として淡々と描いているものでした。
日本人の中のどれだけの人が、戦時中に日本が領土を拡大した場所が現在のどの国だったのか、正確に言えるでしょうか。
シンガポールも日本が統治した国の一つだという事実を知っているのでしょうか。
正直、私はシンガポールに来るまで知りませんでした。
これまでの認識は、
「日本は戦時中にアジア・東南アジアへ領土を拡大していき、今でもアジアでは反日感情が強い国もあるが、東南アジアでは欧の植民地からの解放という影響も大きいため、反日感情は比較的少ない」
と、漠然と、且つ、よく日本で耳にするそのままに思っていました。
でもシンガポールの歴史の中には事実として、過酷だった日本統治時代が暗黒の歴史として残っていて、
シンガポール国民なら誰もが知っていることなのですよね。
それでもシンガポールは日本を責めていなくて、街は日本の物で溢れていて、
こんなに日本の物を受け入れてくれている国は他にはないと思うくらいなのです。
それをみるとありがたい反面、後ろめたさのようなものも感じてしまいます。
今週始めにシンガポール人の友達に会い、会話の流れで土日にどこに行ったか聞かれたのですよね。
私は言うつもりはなかったのですけど、強者の夫が普通に「ナショナルミュージアムに行ったよ」と答えてしまい、
初めてシンガポール人の友達と戦争時代の話になりました。
「日本人にはちょっと嫌な気分がする場所じゃない?大丈夫だった?」
と、気遣ってくれて。
私が
「日本人として恥ずかしかったよ」
と答えると、
「恥ずかしがることはない。こどらは何もしてないのだからあなたのせいではない。あれは過去で戦争という特別な酷い状況下でのことだったのだから。」
と言ってくれました。
ただ、親世代には日本をよく思ってない人もいるということと、
彼らの9歳の息子 〜大の日本好きで、日本語を勉強したいし、将来は沖縄に住みたいと言っている〜 は、日本統治時代について知ったときにはショックを受けて「何でボクの大好きな日本が、そんな酷いことするの?」と泣いたそうです。
友人は
「それが戦争なんだと説明はしたけど、9歳の子供には少し難しすぎたみたい。まぁ彼もだんだん理解できるようになるだろう。」
と言っていました。
戦争だったからといってしまえばそれまで、過去の歴史的事実は変えられません。
でも遣り切れないし、よく末代までの恥といいますが、
難しい話じゃなくて、他人事じゃなくて、
何十年も経った戦争を知らない私たち世代までがこんなに恥ずかしい思いをしたり、恨みが残るのが戦争で、
日本のアニメが大好きで日本を大好きになってくれる、多くのアジアの子供達に悲しい思いをさせるのが戦争なんだなあ、と、つくづく。。。
次に彼らの息子に会った時に、もし同じ質問をされたとしたら、私は彼に何と説明すればいいのでしょうね。
前にも書きましたが、戦争を知らない世代が大半になっている今、仕事であっても旅行であっても、
海外に出ている一人一人の印象が日本の印象を作っていることは間違えなくて、
自分の行いが末代の日本人の恥になるようなことをしないよう、実直に生きていきたい、と思いました。
今回は少し重い話になってしまったかもしれませんが、ナショナルミュージアムで撮った写真を貼りますね。
※シンガポールナショナルミュージアムの公式サイトはコチラから。
シンガポールには他にもチャンギ博物館(日本統治の暗黒時代の博物館。こちらの方がもっと日本人には肩身が狭い場所ですが)など、
戦争時代の資料館や博物館がありますので、住んでいる間に出来る限り、自分の目でしっかり見て歩きたいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。