航空会社とコロナ: SQのケア・アンバサダーで感じる使命感
私が新卒から最初の10年を勤めたのは航空会社でした。
航空業界を離れてからも既に10年が経過していますが、自分の社会人としての仕事の基礎を教えてもらったのは航空会社。
そんなわけで思い入れも強い航空業界なのですが、この新型コロナの煽りを受けて、今、厳しい状況が続いていますよね。
人の移動を世界的に制限しなければいけないので、必然的に航空会社にとっては受難の時期で、、、
世界では破産申請する会社や経営危機にある会社も。。。
日本では最近、地球温暖化の影響もあるのでしょうけど気候が変わってきていて、
毎年酷くなる自然災害の度に飛行機を運休しなければいけないJALやANA、、、
そこに来ての、この世界的コロナ危機ですものね、、、
そんな中、シンガポール航空のキャビンアテンダントが現在、新型コロナの支援でケア・アンバサダーをしているという話を聞いて、
やっぱり航空会社で働く人ってある種の使命感を持っているんだよなあと感じたので、
今回はその、航空会社の使命感について書いてみたいと思います。
シンガポール航空のコロナ支援:ケア・アンバサダーとは
シンガポール航空では、希望するキャビンアテンダントを募ってシンガポールの病院に派遣し、
看護師さんの指示の元で患者さん支援を行うケア・アンバサダーという取り組みを4月から開始しているんですよね。
食事の補助や家族との面会管理といった、医療行為を伴わず、感染者と接触する業務ではないようですが、
これってとっても重要な役割ですよね。
そういった事務的なことを代行してくれれば、看護師さんは本来看護師さんにしか出来ない看護に集中できるわけで。
そして、いくら仕事の一貫であって、感染者とは接しないとは言っても、家にいるよりも確実に感染のリスクは高いので、
医療現場を助けたい、人の役に立ちたいという強い使命感がないと、出来ることではないですよね。
JALで感じた使命感とは
私が働いていた航空会社というのはJALなのですが、当時、社訓というか心得というか行動指針みたいなカードがあって、
それをデスクに置いていたり、社員証と一緒に首から下げたりして働いていました。
一番上には勿論「お客様のために」みたいな心得が書かれていて、
確か全部で4~5箇条あったのですが、その中の一つが
交通機関としての使命
でした。(正確な言葉は忘れてしまいましたが、、、)
これは、例えばある県に空港が一つしかないけれどもそれが赤字路線だった場合に、
一般的な会社の経営判断であれば採算を重視して運行を取り止めると思うのですが、
JALは採算だけでなく、その路線を使う人の利便性を考え、運行を続けることが普通にありました。
あれは半官半民の名残りだったのかもしれず(政治的な側面もあるのでしょうし)、
だからこそ潰れてしまったのかもしれないのですが、
私は個人的に、そんな使命感を持つ会社の社風が好きでした。
またある時には、今では一般的になっている某システムを最初に開発したのに特許申請をしていなくて、
プレスリリースを見るとその理由が、
「お客様の利便性を考慮し、特許を申請しないことで他の航空会社での導入の敷居を下げるため」
というようなことが書かれていて、あまりの人の良さにビックリしたことを覚えています。
そのシステムは最初に開発したためもあってJALでは不具合が相次ぎ、
それを参考に後からより良いものを開発したANAの方が高評価だったり💦
JALの後、B to Bの一般的な会社で10年ちょっと働いた今であれば、
ビジネスなんだからもっとうまくやることも出来たのではないかと思いますが、
でもきっと当時の担当者たちは、採算性では語れない社会的使命感から動いていたんだろうなぁ、と思うのです。
今は経営破綻後に再生しているので昔とは社風や考え方も変わっているのでしょうけど、
それでもやっぱり今回のシンガポール航空のケア・アンバサダーの取り組みを見ると、
航空会社で働く人の使命感って強いなあ、、、と思うのですよね。
あとがき
ケア・アンバサダーや介護の仕事など、、、人のために尽くせる人には本当に頭が下がります。
コロナが落ち着いてくると、問題が大きく残るのは経済ですが、
日本やシンガポールや各国、、、今後世界はどのように変化していくのでしょう。。。
寄付やボランティアは尊いこと。
でもそれと同じくらい重要なのは、人のケアをすることで適切なサラリーが確保できて、
そういう人材が経済的に無理することなく継続的に育ち続ける社会になっていくことですよね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。